窓から光で撮るポートレート
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  • 執筆者の写真隆一 笠岡

窓から光で撮るポートレート



今回テーマにするのは窓からの自然光を利用してのポートレート撮影。

この写真を撮るのにどんな考えをもって撮影したのか、どのような設定で撮影したのかを書いてみようと思います。





この写真は長崎の長崎市旧香港上海銀行長崎支店記念館で撮影した写真です。

この建物は1904年に作られた石造り洋館です。


現在は資料館として館内を見学することができます。

※ここで撮影をするには事前に撮影許可を得る必要があります。


index

1.自然光での考え方

2.撮影時の設定

3.撮影した後の仕上げ





1.自然光での考え方


自然光で撮影するにあたって絶対に必要なのは光です。

太陽からの光であったり蛍光灯や電球などその場にある光を使って撮影します。


蛍光灯や電球などの常設的な光の場合は良いのですが、太陽光とくに朝や夕方の太陽は分単位で色や射角が変わるので難しい光だと思います。


今回は窓から差し込む太陽の光だけで撮影した写真について書いてみたいと思います。


まず最初に載せている写真を撮るにあたってどの光を利用して撮るのか?ってのを考えます。


モデルさんに階段に座ってもらっての撮影なので関係してくる光は2つ。

1.室内の定常光(館内の電球など)

2.窓のからの太陽の光


この光をどのような配分で利用するのか?ということを考えました。

館内の電球をメインで考えるとどうしても暖色系の色が入ってきます。


洋館なので暖色系の雰囲気もとても合うと思います。

でも、この階段の目の前には窓がありました。






この窓から太陽の光が入ります。

窓はすりガラスだったので直接ギラギラとした光が入ってくるわけではなくある程度柔らかくなった光が入ってくる場所です。


この状況で館内の光を利用して撮影するならこの場所を選ぶのはNGです。

太陽光が入ってこないもっと上に座るなどして直接的な影響がない場所に行くべきです。


今回は館内の光を利用せずに太陽の光をメインに考えて撮影します。

利用せずにというのは全くのゼロというわけではなく影響を限りなく減らしてという意味合いです。




2.撮影時の設定


太陽の光を使って撮影するということを決めたので今度はどのような設定で撮影すればイメージに近づけるか?ということを考えて設定を決めていきます。


撮影後に現像処理を行うことを含めて設定を決めましょう。


みなさんは撮影時どんな設定で撮影しますか?


仕上がりのイメージに比べて

・明るめに撮影

・仕上げのイメージ明るさで撮影

・暗めに撮影


いろんなパターンがあると思います。


よく現像でもちあげるから暗めに撮るのがいいという事を書かれてたりするかと思いますが、自分の場合は基本的には仕上がりのイメージに近い露出で撮影することが多いです。

もちろん黒つぶれしてしまいそうな場合は明るめに、白とびする場合は暗めになど調整はしますが。


今回のシチュエーションでの撮影は2つの光の影響を考えての設定をすることになります。


館内の光を利用せずに太陽の光をメインで撮影と決めましたので、館内の光の影響を減らすにはどうしたらいいのかを考えます。


・電球にカバーをして直接光を遮る

これは確実に光を遮ることができますが、階段の天井に設置してある光を遮るのは難しい。さらに他の観光客がいる中での撮影ですので大がかりな作業はNGのため却下。


・レフ板などで映らない範囲で遮光する

これもある程度遮ることができますが、レフ板は映らなくても不自然な影ができたり持ってる人の影が映りこんだりする。またその作業をやっている間階段を占領してしまうため却下。



光を遮る方法はいろいろありますが、今回はカメラの設定だけで調整してみることにします。

ここでポイントとなるのが館内の光と太陽の光の強さのバランスに注目します。


古い洋館の電球を想像してみてください、それと窓から入る太陽の光どちらが強いでしょうか!?


確実に太陽のほうが強い!というのは分かるかと思います。

この輝度差を利用して撮影します。


ミラーレスカメラを使ってる方やライブビュー撮影をやる方はイメージできるかと思いますが、シャッタースピードを上げていくと光の入ってくる量が変わるので暗くなりますよね。


その原理を使って館内の光の影響をゼロに近づけていきます。



この方法はカメラのMモードで撮影してることを前提に説明します。

Mモードで撮影したことがない方も是非チャレンジしてみてください。


まず、適正露出での設定を行います。

これが分からないかたはAモード(Avモード)やPモードで一度撮影をしてみてください。

それで撮影したデータのinfoを見てもらうとiso感度やF値やシャッタースピードなどが分かると思います。


その基準値をMモードにして設定してください。


適正露出の数値を基準に調整を行っていきます。



太陽VS館内の光


というのを考えるとモデルさんに当たってる光は9:1くらいの割合で太陽が強い状況です。

このまま適正露出で撮影しても問題はないと思うのですが、後ろの壁や階段に当たってる光を見ると館内の光の影響も少なからず出てくる状況です。


極力10:0の割合に近づけたいなというイメージです。

なぜ9:1だとダメなのか?という疑問を持った方もいると思います。


答えは現像時のリスクを減らすため!


ホワイトバランスの補正だけで館内の光の影響が消えればいいのですが、色温度の違う光がミックスすると調整がめちゃくちゃ大変になるのでそのリスクを減らす!という考えです。


簡単に言うとモデルさんには太陽光の色温度。後ろの壁は天井からの光の色温度。

この場合現像時にモデルさんの肌の色に合わせて調整すると壁の一部だけ色がおかしい。という状況になる可能性があります。



9:1の割合のバランスだとほぼ無いとは思うのですが出ないための対策は必要だと思っています。



それでは調整方法の説明に入ります。


適正露出で設定した状況。

これは上記のリスクで説明したように光がミックスされてる状態と考えてください。


この状況から館内の光の色を抜いていきます。


シャッタースピードを上げると暗くなる原理を利用して調整を行います。


適正露出からシャッタースピードを上げていくと光が弱いところは暗くなっていきます。

そのままずっと上げていくと一番強く当たってる太陽の光の部分だけが見てる状態になってくると思います。


この状態が太陽の光VS館内の光が10:0になった状態です。


太陽光が当たってない壁は暗く太陽の光がある写真右側だけが明るい状態になります。


今回説明した写真はこんな状況で撮影を行いました。


ちなみに今回の写真の設定はこんな感じです。

iso640

F2

1/160ss



それがなぜ最初に掲載してる写真のようになるのか?というと撮影後の現像処理にてもちあげています。




3.撮影した後の仕上げ


先ほどの右側だけ明るい写真を現像する時、単純に露光量を上げるだけだと適正露出になっているモデルさんの顔などが明るくなりすぎてしまいます。


仕上がりのイメージにもよりますが、白とびしない様に、黒つぶれをなくすというイメージで今回は説明をしていきます。


撮影したデータのように明るいところが適正露出になってて他が暗くなってる場合は、まずシャドウをもちあげます。

これによって暗くなってる部分が明るくなってきます。

最終的なイメージの明るさになるように持ち上げてください。


シャドウを触ることによって顔の明るさを変えることなく全体的に明るくできるはずです。


シャドウを触るだけでイメージに近づかない場合は露光量を少しあげるのもOK。


撮影したデータをパソコン上で見るとイメージよりも明るすぎたり露光量を触るって明るくなりすぎる場合はハイライトを下げて調整します。


白レベルや黒レベルは好みで調整を行ってください。


自分の場合はシャドウを上げて暗い部分を持ち上げたあとに淡くなった黒を占めるために黒レベルを下げます。



ホワイトバランスについて

細かく設定を行うならグレーカードなどを持ってもらって調整するべきですが、現像時に調整する場合はこのような方法で調整できます。


【写真】

このスポイトツールを使って白はコレですよ!というのを設定することができます。

写真の中で基準となる白を設定しましょう。

一番簡単な方法としては眼球の白や歯の白を利用する方法です。


写真を拡大して眼球の白や歯をスポイトでクリックして設定します。


この時に白じゃない部分をクリックしてしまうと変な色になるので注意してください。

拡大をせずにやると眼球の血管部分やくすんだ部分をクリックして変な色になることがよくあります。


この方法で基準となるホワイトバランスを設定してからスライドバーでイメージの色合いになるように調整するとやりやすいかと思います。




その他の彩度や明瞭度など細かい設定についてはイメージに合うように調整してください。


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